いろんな人がいて 自分がいる  続編

2008年02月07日
昨年、私はある公共放送のテレビクルーと半年間過ごした。

小さな保健室は、カメラまわりっぱなしの日々。

と書くと、「大変だったでしょう」とよく言われるが、

あたしも子どもたちも、どんだけ助けられたことか。
 

 

 


テレビは華やかな世界だけれど、テレビクルーって地味な人が多い。

コンビニのおにぎりを食べながら走り回って仕事をしている彼らを見ていると、

どんな人生を歩んできたんだろう?と興味をもってしまう。

たいていの黒子は、わけありで、挫折も差別も体験し、

世の中をよく知っているんだ。

 

 

たとえば、李さん。

 

音声の李さんは、在日のかわいいお兄さんだった。

朝鮮と日本の歴史に詳しく、中学は朝鮮学校に行った。


李さんの人生を知ることは、

 

隣の国と平和に暮らすこと、

戦争に反対する授業じゃん!

 

と思ったので、

 

教室へ行って平和授業をしてもらった。

 

教材は、パスポートと外国人登録証明書。

 

 

授業後、子どもたちは、李さんにくっついて離れなくなった。

 

 

 

李さんは人気抜群だったので、

性教育や全校集会にも出番が続いた。

 


性教育の授業では、

「今日は、李お兄さんに、

中学生の頃の性の悩みについて、

思い出して、語ってもらいましょう!

そのあと、ビデオでお勉強します。」

と言ったら、

子どもたち、目がキラキラ。

 

全校集会では、

「昨日、トイレにおかしの袋を流した人がいます。

トイレが詰まってしまいました。

そこで、李さんのお話をききましょう!」

と山ちゃん。

 

 

子どもたちは、???

 

 

李さんは、以前バイトで下水道の仕事をしていたことがある。

トイレに手をつっこんで詰まったナイロン袋を取り出すって

どういうことなのか、体験をそのまんま語ってもらった。

 


「みなさんたちが、便利に暮らすためにどれだけ多くの人が、

働いているのか想像して生活をしてくださいね。」

 


李さんのひとことで、トイレは一度も、詰まらなくなった。 

 

 

 

休み時間の保健室でも“授業”が始まる。

チャイムと共に、子どもたちが、ど~っとやってくる。

 

 

「カメラ、さわりてえ~」

と言うと、カメラさんは

「よし、持ってごらん!」

と使い方を教えてくれる。

 

 

 

ついでに、カメラで見てきた世界の話もしてくれる。

 

 

世界遺産の撮影で、訪れた国々の話をね。

アフリカのライオン、ブラジルのサル…撮影中、

息をのむ瞬間があるってことを、リアルに語ってくれる。

知識と体験は、子どもたちをぐいぐい引きつける。

理科や社会の授業を受けている気分!

 

 

 

特にお世話になったのはKちゃん。

 

 


ある日、

「山ちゃん、数学と英語がわかりません。

今日から保健室で勉強します。」

とイキナリ宣言した芯のある保健室登校さん。

 

「ようこそ、保健室へ!」

と歓迎したいところだけど、

私は教科書を見るだけで、免疫が落ちるタイプ。

 


ふと、横を見ると、ディレクターがヒマそうに椅子にすわっていた。

 

 

だいたいディレクターは、高学歴が多い。

中学生の数学なんて、朝飯前。

教え方もハイレベル。

受験でしか役にたたない数学は、彼に頼んだ。

Kちゃんは、塾に行くよりずっと得した。

 


 
文化祭の劇でも、ディレクターは大活躍。

A君が書いたシナリオが、あまりにも、軽かったので、

 

「プロのおじさんに相談したら?」

と、言ってみたら、さっそく放課後やってきた。

 

 

「あの…これ、おもしろいですか?」

 

とディレクターにシナリオを見せた。

 

 

ディレクターは、

「これじゃ見てる人が、わからない。おもしろくないね」

と、はっきり言った。

 

A君、しょぼん→すがるような目→デイレクター立ち上がる

 

 


すぐに、実行委員を集め、授業が始まる。

保健室の黒板にポストイットを貼りながら、シナリオを分析。

場面をつなく技を解説し、ユーモアを混ぜ込んで蘇らせる。

子どもたちは、一生懸命メモを取り、この授業をヒントにやりなおした。

 

 

あとは、子どもたちのパワーで乗り切り、

すばらし笑いと感動の劇が完成したっけ。

 

 

 


  
テレビクルーは、こうして信頼関係を、丁寧に作りながら、

一緒にいるのがあたりまえっていう空気を、創り上げてくれた。

プロは見えないところに、一番時間とエネルギーを使うんだな~と、

教えられた。

 

 

 

いい医療も、いい教育も、いい番組も、チームの質で決まる。


 

 

ディレクターとカメラさんと音声さんが、

撮影について対等に話しあえるチームは、

いい番組を作る。

 

 

 

医師と看護士と掃除のおばちゃんが、

患者について対等に話せる病院は、

いい医療ができる。

 

 

 

校長と学級担任、養護教諭、事務職員…が

対等に子どもについて語れる学校は、

いい教育ができる。

 

 


私が出会ったテレビクルーは、そんなことに気づかせてくれた。

そして何より、子どもたちに、

「大人っておもしろいぞ~」

と、感じさせてくれる大人のモデルだった。
 

 

学校のセンセイは、マジメで責任感が強いから、孤立しやすい。

生きた教材は、あちこちにあるんだから、おもしろがって活用しましょう。

 

 

 

使わないともったいないよね~!

 




コメントをどうぞ!

今日(2月8日金曜日)、平和授業の最後に佐藤先生が歌ってくれました!
それも、自分で作詞作曲した曲で!
とっても感動しました。

それと・・・今日聞きましたが、佐藤先生が私が書き込みをしたのを読んでくれたそうです。
とても恥ずかしかったです。
でも、読んでくれたことはすごく嬉しかったです。

体調の方、どうですか?
これからも応援してます!!!!
頑張って下さい!!!!!

最後に・・・
会ったことないけど、私は山田さんが大好きです!!それととともに佐藤先生の事も大好きです!!

投稿者帆足 優:2008年02月08日 19:32

おもしろーい。
どうして、こんな面白い先生が生まれ育ったんだろう。世の中のためになるから、もう少しこの世の中に置いとこうよ。
子どもたちは幸せ。きっと、山ちゃんの刺激を浴びて、何年かたったら素晴らしい先生や社会人、お父さんお母さんになっているだろう。テレビのお兄さんたちも、皆に尊敬されて、自信のなかった人も、もともとあった人も、更にupしただろう。

投稿者堀口雅子:2008年02月08日 20:03

堀口先生、昇幹夫さんの朱に交われば赤くなるのお話を教えてくださって、ありがとうございました。できれば、1から4までの全部を読みたいです。末期ガンといわれて生還した人々がいるということ、精神神経免疫学という学問に励まされています。グットタイミングで素敵な文章をプレゼントしてくださったこと心から感謝しています。

中学生の方、メールありがとう。今を大切に生きて下さいね。山ちゃんより。

投稿者山田泉:2008年02月09日 20:43