朝日新聞コラム「豊後ジャーナル」5月30日付け③

2008年05月31日

連載中の「豊後ジャーナル」連載の3回目です。

 

転載します。


 

最近「講演をしてください」と頼まれることが、ぐんと増えた。

 

もともとしゃべることが好きなので、話したい気持ちはあるのだけれど、

 

抗がん剤の副作用と付き合いながら生きていくだけで精いっぱいの日々。

 

実際には行けないことが多い。

 

 

 

 

医師の卵に、東京で講演をして欲しいというメールが届いたのは、

 

5月上旬だった。

 

 

 

全国医学生ゼミナールの実行委員80人に、

 

『患者の立場から医療に望むもの』というテーマで話して欲しいという、

 

学生からの依頼だった。

 

 

 

 

「無理だなあ。お断りしよう」と思っていたのだが、

 

東京のがん友達が「僕たちが全面的にサポートするから、受けてみたら?

 

断るなんてもったいないよ!」と背中を押してくれた。

 

 

 

 

空港からは車で移動。

 

 

 

当日も、「きつくなったらいつでもバトンタッチするよ」

 

と会場で待機してくれた。

 

 

 

往復は夫の付き添い。

 

いろんな人のお陰で、なんとか実現した。

 

 

 

 

 

学生たちとの出会いは、とても新鮮だった。

 

講演の合間でも我先にと、次々に手が挙がる。

 

今、この瞬間に思いを語りたい、質問をしたい、

 

という熱意がびんびん伝わってきた。

 

久しぶりに教室で、「いのちの授業」の実践と患者体験を元に、

 

思いの丈を語った。

 

 

 

 

痛みを緩和するために入院したホスピスで、

 

私を支えてくれた医師が

 

「ホスピスは、その人らしく生きるための手伝いをするところです。

 

痛みを緩和できたら、山田さんには、まだやれることがたくさんありますよ。

 

もったいない!」

 

 

と言ってくれたこと。

 

 

 

逆にカルテだけ見て目も合わさない医師に、

 

心を痛めている患者もたくさんいるという現実も伝えた。

 

 

 

 

そんな患者の生の声に、学生たちはこんな感想を寄せてくれた。

 

 

 


 「『一人の医療者』としてではなく、

 

『一人の人間』として真摯(しん・し)に接すれば、

 

心を開いてくれるという実体験の授業を受け、

 

自分の中にすごく影響を受けました」

 

 

 

「医者がかける言葉一つで、『薬』にも『毒』にもなるということを

 

改めて気づかされました。やはり実際に人と会い、話を聞くことで、

 

新しく始まります。まず“ひとりから”始めてみます」

 

 

 

 

「がんと告知されてから受け入れるまでには、

 

かなりの時間がかかったと思います。

 

それを伝えるってことは、かなりのエネルギーと

 

心の強さがなくちゃできないです」

 

 

 

「一人の人間として、一人の医療系学生として、今できることをしたい。

 

人を大切にして、精いっぱい今を生きたい。

 

そして、いつか自分が死ぬ時に後悔しない生き方をしたいと思った。

 

命の大切さを忘れない医療者になりたい」

 

 

 

 

涙をふきながら、一生懸命語ってくれた学生たちの言葉に、

 

希望と元気をもらった一日だった。

 

 

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コメントをどうぞ!

現在、医療訴訟報道でいわれる医療不信の根源は医師と患者との信頼関係の問題だと思います。今回の山ちゃんの講演で患者のための医療を実践してくれる医師が増えますように!

投稿者診療放射線技師くわはら:2008年05月31日 22:27

ご無沙汰。
暑かったり、寒かったり、大分はどうですか。一寸この温度変化は、きついのではないかと心配しています。
今、助産師さんたちの学校で、生涯を通して大切な自分の体とこころ、相手の体とこころについてお講義をしています。乳腺に関し、また思春期の性の健康・命の授業について語るとき、山ちゃんのいろいろを紹介させてもらいます。ぐっと熱が入るし、みんなの態度も変ります。遠くで山ちゃんの蒔いた種が実を結ぶの、楽しみにしてください。
8月の名古屋、性教協の大会に行こう。体に気をつけて。

投稿者堀口雅子:2008年06月12日 19:19

実は、名古屋の性教協の申し込みをしました。体力あればいくつもりです。先日お花が届きました。雅子センセイありがとうございます!!
桑原さん、いつもかきこみありがとう!!

投稿者山ちゃん :2008年06月12日 22:48